これまであまり書いてこなかった話題ですが、最近PCの画面を見ていて思ったことを、メモ的に書いておきたいと思います。
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改めて今、問いたい。
「グループウェアとは何なのか?」と。
世の中に出回る数多のビジネス書、自己啓発書、就職活動を目前に控えた学生向けの指南書などでは、口を揃えて、
「どこ(の企業)にいるか?ではなく、何をする(したい)か?だ」
と当たり前のように書いている。
仕事をする当事者である"人"にそれを訴えるのであれば、"人"の仕事をアシストするツールについても同様のことが当てはめられるのではないか?と。
つまり、
「どこの(メーカーの)ツールか?ではなく、何を(電子化、自動化=すなわち、システム化)したいのか?」
という基本的なコンセプトに忠実でさえあれば、その人達(会社や任意のチーム)にとって最適と考えられる道具や仕組みは、自ずと見えてくるはずである。
Microsoft Outlookに代表されるような、メール、スケジュール、連絡先、タスクの管理が出来るソフトウェアはあくまでPIM(Personal Information Management)ツールであって、それ自体が"グループ"ウェアとして独りでに機能するものではない。
任意のグループや企業内で、人目につかないバックグラウンドにあるサーバーシステム等を経由し、情報を共有してはじめて「グループ(内で使うソフト)ウェア」として活用されることになる。
反対に、SNSやもろもろのWebサービスのように、サーバーを主体としてコミュニティスペースを提供し、しかしながらそれ自体が特定の企業内の設備になく、むしろ所属元や立場の垣根を越えて利用出来る、いわばソーシャルネットワークも、仲間やその知り合いなどを通じて情報をコミュニケートするという点で明らかに「グループウェア」と呼べるものである。
新しい技術や機能を採用したり、ユーザビリティ(使い勝手)の向上や利用者数の確保を図ることで、製品やサービスに「トレンド」が生まれてくるが、根本的な要件として、そもそも情報共有の「仕組み」を導入していないグループにとっては、トレンドで語られる要素が、業務改善や自動化を実現するための重要な位置づけとなることには繋がらないケースがほとんどである。(一部例外を除く)
加えて、コストや運用面の手間などをあえて省いたうえで言うと、「SaaSだから」「クライアント/サーバー型だから」といった、システムのアーキテクチャで問題が解決出来たり、業務改善を実現出来たり...というものでもない。
業務の特性に見合った環境で、運用すべきアプリケーションが滞りなく使いこなせるのであればこれらに依存する点が多少なりとも出てくるが、
>「何を(電子化、自動化=すなわち、システム化)したいのか?」
を実現する上では、一言でいうならばそれらは運用スタイルの問題でしかない。
もし仮に、クラウドサービスを標準的なプラットフォームとして利用したとしても、これまでに作成した膨大な量の「Office製品関連ファイル」がローカルに保存されているとなると、端末に依存せずどこからでも情報が参照出来るという、本来の"うま味"がフルに活用出来なくなってしまう。
例えば、Google Appsで共有するファイルは、共同編集が出来る仕組みを生かして、「今」同時に複数のメンバーでまとめる必要性のあるファイルなどに限定されてくるはずであり、何でもかんでも放り込んでおくための「レンタル倉庫」のようなスペースではない。そのため、多くのファイルをむやみに全部アップロードしたところで、却ってサービスとしての利便性を損ねてしまうことに繋がりかねない。
普段からファイルサーバーの運用に苦慮している企業が、ネット上のストレージ共有サービスに切り替えたところで分類基準や階層ルール、文書としてのインデックス管理などをキチンとしない状態のまま、本当に快適な使い方をしているとはお世辞にも言い難いと推察される。
要は、「目的に合わせた選定」を意識しないことには、結論が出ないだけでなく本質的な問題解決のための議論にすらたどり着かないこともあり得るのである。
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ま、つらつらと書きましたが、早い話、「メールシステムやスケジュールの共有が出来る=グループウェアである」なんていう単純なもんじゃないんだぞ、と言いたいわけです。
Gmailの窓縁に幾度となく表示される、
「Notesは古い」
「移行にお困りの方へ」
という見出しの広告を見るにつけ、本質的な使われ方を知らずにそんな表面的な文句(メッセージ)だけでユーザーからの期待を獲得しようとしている製品やサービスに、甚だ疑念の意を持たずにはいられないと感じた、とある日の昼下がりでした。
(もしかしたら続く、かも)
グループウェアはホワイトカラーの生産性を向上させるもの、という基本的な発想が大事だと思います。ITはITの都合で動いているところに現状の問題はありますが、まずはTwitterと音声の有機的かつ人間的な統合あたりからスタートしてみてもいいのかなと思います。話すと長くなるのでこれぐらいでやめときます。
投稿情報: Taro_deshita | 2010/02/17 21:56